『実は1枚からオリジナルダンボールが作れる!ダンボールへの印刷方法まとめ』
ダンボールに描かれたオリジナルデザイン。
そこにデザインが加わることによって、ダンボールはただの梱包材ではなくなります。
中に入るモノを引き立て、その商品をよりステキに見せる魔法をかけることができるのです。
「でも、ダンボールの印刷ってなんとなく敷居が高い……」
そう感じている方に、今回はオンリーワンのダンボールを制作するための印刷ガイドをお届けします!
ダンボールへの印刷方法の特徴&コスト
ダンボール印刷に関する素朴な疑問
自分でダンボールに印刷してみることもできる!
まとめ
○ダンボールへの印刷方法の特徴&コスト
樹脂やゴム製の版をつくり、ハンコのように印刷するフレキソ印刷、厚紙に一度印刷してから合紙してダンボールにするオフセット印刷、直接ダンボールに霧状にインクを噴射するインクジェット印刷、金型を熱して箔フィルムに熱圧着させて転写する箔押し印刷。
ひとえに『ダンボールに印刷』といっても、その種類は多種多様です。用途にあった印刷方法を見ていきましょう。
・フレキソ印刷
フレキソ印刷(簡単印刷)は、樹脂やゴムでできた『版』をつくり、ハンコのように印刷する印刷方法のこと。極薄のダンボールにも印刷することができ、ダンボール印刷の中では一般的な方法です。
版には樹脂版と手彫版があり、樹脂版のほうがよく使われます。バーコードなどの細かい印刷も樹脂版なら、きっちり印刷することができますし、一色で塗るだけではなく、網点によって濃淡を表現することも可能です。
もうひとつの手彫版は、職人さんがゴムに手で彫る版のこと。最近ではなかなか見かけなくなりましたが、簡単なイラストをお願いするなら、こちらのほうがお得に作ることができることも。版を作るためには、印版代(ゴム樹脂で作ったハンコ)がかかるので、じっくり吟味したいですね!
ちなみに、版は1度作成すれば、経年による劣化で樹脂が割れるまで再利用が可能です。最近の樹脂は昔に比べると高品質になっているので、約5年~10年使うことができます(差があるのは使用頻度によるためです)。
ただし、保管期限を決めている印刷会社さんも多いので(平均2年ほど)、長く使いたい場合は会社さんに相談してみましょう。
フレキソ印刷の特徴
・短い納期、低価格で簡単に印刷できる
・少部数から数千個まで対応可能
・オフセット印刷
フルカラーのキレイなダンボールはオフセット印刷で作られます。中身の保護だけじゃなく、商品の広告に使いたいという場合にピッタリの印刷方法です。
オフセット印刷は、一度厚紙に印刷したあと、その厚紙と片面ダンボールを貼り合わせます。
オフセット印刷の特徴
・フルカラーの美しいデザインが可能
・繊細な印刷も思いのままにできる
・少部数には向かない。500~が目安
・インクジェット印刷
インクジェット印刷はデジタルデータを使ってダンボールに印刷する方法のこと。プリンターのヘッドからインクを霧状に吹き付けたあと、UVランプで紫外線を照射し、硬化させます。フレキソ印刷のように版代が必要ないので少部数の箱制作にぴったりです。
インクジェット印刷の特徴
・1枚ずつセットするので大量印刷には向かない
・小ロットの制作にぴったり
・写真印刷が得意
・箔押し印刷
金属で作られた凸版を熱して、金や銀などのカラーを圧着させて転写する印刷方法のこと。
黒や白、金、銀、ホログラムなどのメタリックなカラーが印刷できます。
独特の凹凸や、光沢のあるメタリックカラーは、会社のロゴなどを入れるととてもかっこ良いです!
大きな面積を印刷することはできないので、ワンポイントの印刷に適しています。
箔押し印刷の特徴
・比較的安価で出来る(ただし、面積が広いと高額になる)
・熱圧着を用いるので、溶剤等を使用しない。
・大きな面積の印刷は不可能
・ダンボールへ箔押しすると、印刷面のスジが目立つことも
・シルク印刷
シルク印刷とは、大小の穴が空いた版に、ヘラ(ステージと呼ぶ)でインクを伸ばし入れる方法のこと。その昔、版がシルクで作られていたので、今でもシルク印刷と呼ばれています。
シルク印刷は隙間なくインクで面を塗りつぶす印刷が得意です。インクでキレイに面を塗ると、印刷面にツヤがでて美しいです。
また、インクを厚く塗布するの太陽光や風雨の影響で退色しにくいという特徴も持っています。
シルク印刷を使えば、ゴールドやシルバーなどのメタリックな色味もキレイに表現できます。
ただ、シルク印刷は細やかさに欠ける点と、版が高く、コストが高くなってしまうのが弱点です。
シルク印刷の特徴
・厚く塗るのが得意
・メタリックな色味もキレイに表現できる
・値段が高め
以上が現在ダンボール印刷に使用されている主要な印刷方法です。
写真のような表現をしたい、という場合はオフセット印刷(少部数の場合はインクジェット印刷)がおすすめですが、どのくらい印刷したいのかによって、ざっくりと以下の印刷方法に分かれています。
1~500箱……インクジェット印刷
100~数千箱……フレキソ印刷
500~数万箱……オフセット印刷
○ダンボール印刷に関する素朴な疑問
・2色使うんだけど、フルカラー印刷じゃないといけない?
いざ、ダンボールに印刷しよう! と思ったら、そのデザイン画単色印刷で済むのか、フルカラー印刷しなければならないのかチェックしましょう。
ロゴや社名など、1色~2色で済む場合は、単色印刷が対応可能です。
逆に写真のようなカラフルなものを印刷したい場合はフルカラー印刷が良いでしょう。
ダンボールへの印刷は、網点によって濃淡を表現することも可能なので、単色印刷でも深みのあるデザインをすることが可能です!
・印版代っていくらかかるの?
印版代の価格は、印刷する内容や使う色の数によって変動しますが、2万円~であることが多いです。
印刷する版のサイズによって印版代が高くなっていきます。また、バーコードのように繊細な印刷が必要な場合も価格が高くなります。
箱の大きさが小さく、印刷面積が小さい場合は2万円台。大きな箱で印刷を全面にしたいという場合は10万円を超えることも。
印版代は1回作ってしまえば、2回目以降の注文は印版代がかかりませんが、ダンボールのサイズを変更した場合は、もう一度印版を作らなければいけないので、注意してください。
ちなみに、デジタル印刷の場合は印版の作成が不要なので、少部数の作成の場合はこちらが良いでしょう。ただし、デジタル印刷は印版を用いた印刷よりも割高になります。
例:宅配80サイズで印刷場所が2か所、印刷面積が小サイズ(60×120mm)印刷色数が1色という場合……
デジタル印刷
100枚注文 1枚あたり 138円
通常印刷
初回印刷版代 22,900円
100枚注文 1枚あたり 65円
・バーコードを印刷する場合、特別料金がかかるの?
版を使った印刷の場合、バーコードの作成代がかかります。
費用の目安は、バーコード(JAN/ITF)3,000円。バーコード(JAN/ITF以外)5,000円。
バーコードのデータをそのまま送っているのにどうして作成代がかかるの?? と思ってしまいますが、これにはきちんとした理由があります。本当に印刷したバーコードを読み取ることができるのか品質チェックが必要だからです。
また、バーコードの部分は特殊な樹脂で版を作成するので、バーコード作成代が必要となります。
デジタル印刷の場合は、バーコード代は要りませんが、読み取りのチェックをしてもらえないので、データを送る前に事前にチェックしてくださいね。
○自分でダンボールに印刷してみることもできる!
印刷会社に頼む、本格的な印刷方法を紹介してきましたが、「そんなに大量には要らないけど、自分でオリジナルダンボールを作ってみたい!」という方のために、手作りのダンボール印刷の仕方も紹介してみたいと思います。
やり方は簡単。自分で版――ハンコを作ってしまうのです!
自作の版を作れるキットの名前は『箱ロゴすたんぷ!』。太陽光(紫外線)で作る、スタンプ樹脂作成キットです。(箱ロゴすたんぷ!start-kit 5,280円)
まずはパソコンでスタンプ樹脂を作成します。作成できるスタンプサイズは最大でA6サイズ。これほど大きなサイズは、「きれいに押せないから」とはんこ屋さんでも断られてしまったりするのですが、箱ロゴすたんぷの場合は持ち手が湾曲状になっており、印刷ドラムの機械のようにダンボールに、ごろんと押してスタンプするようになっています。この工夫により、箱ロゴすたんぷは、ダンボールの印刷工場のようにきれいに押すことができるのです。
スタンプの作り方
スタンプを作成するためには、まずパソコンでデザインを作ります。このままではハンコにならないので、「白黒反転」と「水平反転」を行います。
この画像をインクジェット透明フィルムに印刷すればOK。
スタンプ樹脂は、フィルムの透明部分を硬化してスタンプの凸部分を作り、フィルムの黒い部分は硬化しないので凹部分になります。
ポイントは、同じネガフィルムを2枚印刷して、重ねること。これにより黒の濃度を濃くすることができますよ!
感光フレームにスタンプ樹脂をセット。5~10分程度、直射日光に当てて感光させます。
長く光にあて過ぎると、硬化させたくない部分も硬化してしまい、きれいに凹部にならないこともあるので注意が必要です。
夕方だと、樹脂が硬化しない場合もあるので、日の当たる日中におこないましょう。
スタンプ樹脂を洗い出します。感光させたあとのスタンプ樹脂を水につけると、光を当てていない部分が白く変色します。これは樹脂が硬化していない部分でスタンプの凹部になります。ブラシで溶け出した樹脂を洗い出し、凹凸をしっかりつけていきましょう。未硬化樹脂をしっかり落としたあとは、乾燥させます。樹脂を長い間水につけておくとふにゃふにゃになってしまうので、洗い出しはなるべくはやく、そして終わった後はドライヤーですぐに乾かすとグッドです。
スタンプの凸部分を完全に硬化させるため、太陽光でもう一度感光させます。
持ち手にセットするし、付属されている「水洗い繰り返し粘着シート」でアクリルに貼付けます。あとはインクを付けて、スタンプするだけです!
○まとめ
オリジナルダンボールなんて敷居が高い! と思われていた方は「あれ? そんなに少部数でもできるの?」とびっくりされたのではないでしょうか。
そう、オリジナルダンボールは実はとっても気軽に作ることができるのです。
小さなお店を営んでいる方をはじめ、フリマアプリで商品の売り買いを楽しんでいる方も、ちょっと背伸びしてダンボール印刷に挑戦してみてはいかがでしょうか。
自分のお店のオリジナルのロゴデザインを考える時間もとっても楽しいと思いますよ!