フルートってなに?コツをつかめばオーダーメイドのダンボール注文は怖くない

ダンボールの基礎の基礎

ハンドメイド作家さんやフリマアプリの常連さん。ダンボール箱を手に取ったとき、「もう少し横幅があればなあ」とか「平べったいのがいいんだけどなあ」なんて思ったことはありませんか?

サイズだけではなく、見た目も……。

「ここにドーンとお店のロゴが入ったらかっこいいんだけどなあ。銀色の箔押しにしてみたいなあ……」なんて思ったことはないでしょうか?

その夢は、ちょこっと手を伸ばせば叶います。そう、オーダーメイドでダンボール箱を作っちゃいましょう!

【目次】
オーダーメイドでダンボール箱を作るときに知っておきたいこと
まとめ

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○オーダーメイドでダンボール箱を作るときに知っておきたいこと

オーダーメイドでダンボール箱を作ってもらうときに一番必要なのは『お金』……ではなく、『イメージ』です。「ダンボール箱の中にはこんなものを入れたい」とか「こんなロゴを入れたい」という具体的な完成イメージがとても大事です。

相談に乗ってくださるダンボール会社の方はエキスパートなので、具体的なイメージを伝えれば「そういうものを入れたいなら、○○式で厚さは○○のタイプがいいですね」と答えてくれるでしょう。

ダンボール会社の方に、しっかりとイメージを伝えられるように、いくつか質問を用意しましたので、相談する前にイメージを膨らませましょう!

Q1そのダンボールの用途はなんですか?

 

ハンドメイドのアクセサリーをいれたいなら小さいサイズで差し込み式がよさそうですし、保管するもの・収納用なら厚みがあるものがよさそうです。また、海外発送用なら頑丈で壊れなさそうなもの……など、用途によって箱の厚みや形状が変わってきます。

 

Q2入れるものはなんですか?

 

ビンなどのワレモノなのか、冷蔵するものなのか、生ものなのか……。冷たいまま届けたいものなら、薄いダンボール箱ではなく厚みがあるものがよさそうです。

 

Q3入れるものの重さはどうですか?

 

重たいものをいれるのか、それとも軽いものを入れるのか。これによってダンボール箱の厚さはどのくらいにするのか決まります。

 

Q4 内寸サイズと外寸サイズは決まっていますか?

 

内寸とは箱の内側の寸法のこと。外寸とは箱の外側の寸法です。オーダーメイドでダンボール箱を作成する場合は、箱に入れたい商品のサイズに5㎜~10㎜程度の余裕を持たせて内寸サイズを指定することをおすすめします。

内寸と外寸の差は、ダンボール箱の厚さ(フルートと呼びます)によって異なります。

外寸とは、ダンボール箱の接合部分をはがし、開いた状態のサイズをいいます。できあがったものを外側から測ったものは外形寸法といいます。

 

例:

内寸 → 外寸

BF(厚さ3mm)なら : 長さ+3mm、幅+3mm、深さ+6mm

AF(厚さ5mm)なら : 長さ+6mm、幅+6mm、深さ+9mm

WF(厚さ8mm)なら : 長さ+9mm、幅+9mm、深さ+18mm

できあがりの外形寸法(組み立て後の外側から測った寸法)は、外寸よりも3㎜~20㎜程度大きくなるそうです。運送会社の宅配サイズは外形寸法の3辺の合計サイズによって決まるので、こちらも考慮しながら作りましょう。

 

Q5 表面の色はどうしたいですか?

 

一般的なダンボールは茶色い色をしていますよね。あれは『両面クラフト』と呼ばれるものです。『クラフト』とは『クラフト紙』のこと。クラフトパルプなどから作られる丈夫な褐色の紙のこといいます。包み紙や封筒の茶色いものもクラフト紙から作られています。両面がクラフト紙でできているので、両面クラフトという名前なんです。

オリジナルのダンボール箱を作る場合は、この茶色いクラフト紙のほかに、真っ白のものを選択することもできますし、奮発してフルカラーなんてこともできちゃいます。

 

Q6 箱の形式はどうしたいですか?

 

皆さんご存知のダンボール箱は『みかん箱タイプ』と呼ばれるものです。そう、みかんが入っている箱の形状。あの形がダンボール箱のスタンダードです。このみかん箱タイプは正式にはA式と呼ばれます。ダンボール箱のさまざまな形状をご紹介しましょう。

 

みかん箱タイプ

 

みかん箱タイプはダンボール箱の基本の形です。上面と底面をテープで封をしただけなので、はがせば簡単に畳むことができるのが利点です。

幅や長さ、高さを変えるだけでさまざまな商品を梱包することができるので、引っ越し業界・運送業界で重宝される存在です。トラックにも重ねて積むことができるので、一度に大量の荷物を送ることができます。

欠点は、テープがないと開いてしまうことです。段違いに組めば箱の形にはなるものの底が抜ける危険性があります。みかん箱タイプのダンボール箱は、ガムテープとセットで持つのが基本です。

 

ヤッコ型(たとう式)

 

平べったいものを風呂敷のように包む形をしています。上面をテープで封をして使います。

本やカタログ、CDなどの薄いものを包むために使われます。

加工が複雑なので、切り落とすダンボールの面積が多いところが欠点です。オーダーする場合、ほかの形状よりも割高になってしまいます。

また、箱の四隅に隙間ができるので、商品を保護する力と強度がほかのものに比べて弱いです。

この問題は、N式上差込にすると改善します。

 

N式上差込式(組み立てるタイプ)

 

ヤッコ型の進化版、薄いものの梱包に適した箱です。

箱にしたときに、内側の底面が平らになります。ヤッコ型のように箱の四隅に隙間はできず、四隅が完全にふさがります。差し込んで封をするタイプなのでテープがなくてもOKです。

欠点は抜型が必要になるということ。初期費用が高めになるのと、梱包時に組立てる必要があります。

 

N式サイド差込式(組み立てるタイプ)

 

N式上差込式をさらにパワーアップさせたものがこちら。

差し込んで封をするタイプなので、テープがなくてもフタがしまり、四隅が完全に塞がるのと、ダンボールが折り返される作りなので、ヤッコ型よりも強度が増しているのが特徴です。

N式上差し込み式のように差込むフタが中のものと接触しないので、中のものを傷つける心配もありません。現在は、ヤマト運輸がこの形状のダンボールを売っています。

 

筒形・ポスター(まるめこみ式)

 

ポスターなど、細くて長いものを入れるならこの形がべストです。

欠点は割高になるという点。ヤッコ形タイプに比べれば、切り落とし部分はほとんどないものの、折れ目や切り込みを狭い間隔で入れるため、手間賃が高くなります。

 

上下差込式(組み立てるタイプ)

 

箱の枠が畳まれた状態で届けられるので、上下のフタを差し込んで使います。差し込んで封をするのでテープがいらず、4枚のフタを組み上げて、上フタを差し込んで使うので、簡単に組み立てることができます。

欠点は、底面を組み上げるときに底面の形状がでこぼこになることです。

 

上差込下風車式(組み立てるタイプ)

 

こちらも畳まれた状態で届けられます。4枚のフタの底面を組み上げ、上フタを差し込んで使用します。

差し込んで封をするので、テープがなくてもフタがしまり、N式よりも組み立てが簡単です。

欠点は上下差し込み式と同じく、底面を組み上げるので底面の形状がでこぼこになることです。

 

上差込下仕切式(組み立てるタイプ)

 

こちらも畳まれた状態で届けられます。4枚の底面のフタを組み上げて、4区画、もしくは6区画の仕切りができます。上フタは差し込みます。

仕切りがあるのでほかに仕切りを用意しなくて良い点が利点ですが、逆に言えば、4区画か6区画でしか仕切れないのが欠点です。

 

Q7 ダンボールに印刷をしたいですか?

 

無地のダンボール箱も良いですが、せっかくオーダーメイドでダンボール箱を作るなら、印刷にも挑戦してみたいですよね。

ダンボールにショップ名が印刷されていると、中の商品の信頼感が増します。また、商品そのものをイメージする印刷が施されていると、その商品イメージがぐんとよくなります。

ダンボールに印刷する方法は、簡単にいうと『版』を使うのか使わないのかで価格が大きく変わるので、まずは『版』についてご説明しましょう。

 

 

『版』とは

 

学校の美術の授業で『版画』にトライした経験はありませんか?

ハンコのようなものを作って、そこに色を塗り、紙に写す。これがダンボールの印刷にも行われてきました。『印字するため原稿データを作成したあと、アルミ製の板に原稿データを写して、印刷用の版(板)を作る』。これがダンボール印刷の基本でした。

しかし、印刷用の版は、1色につき1版必要になるので、使用する色が多ければ多いほど版代がかかります。版には印刷面積分の大きさのゴム版が必要なので、印刷面積が広いと版代は1個10万円をこえてしまうこともあるんです。

版は一度作ってしまえば、2回目以降も同じデザインで作る場合、版代がかからないので大量に作る場合は版を作ってしまったほうが安くなります。

しかし、オーダーメイドで数十枚だけ欲しいという場合は割高です。そのため、現在は版を使わない印刷方法が増えてきました。

以下、版を使わない印刷方法をまとめたいと思います。

 

インクジェット印刷

 

インクジェット印刷は、デジタルデータを元に、直接プリンターのヘッドからインクを噴射する印刷の仕方です。インクを霧状に噴射するので、細かい模様もきちんと再現できます。写真のように美しい印刷をほどこすことができます。

最近では、インクジェット印刷にラミネート加工のオプションを付けることで、防水性や高級感を高める印刷が人気なんだそうです。

 

おすすめのロット数 1~500箱程度

 

・フレキソ印刷

 

凸版印刷と呼ばれる印刷方法。ゴムや樹脂などの弾力のある物質でできた版に液状のインクをつけて印刷します。凸型のハンコの表面にローラー(ユニコーロールと呼ぶ)でインクをつけ、その版をダンボールに押し付けて転写していくという昔ながらの印刷方法ですが、現在の印刷機はより細やかな印刷が可能となっています。

 

おすすめのロット数 1000~1000

 

~版を使うものの少部数に向いている印刷方法~

 

箔押し印刷

 

金や銀などのメタリックなカラーを印刷したいなら箔押し印刷です。金属で作った凸版を使い、ワンポイントで入れるのが主流です。箔押し印刷は印刷の際、グッと圧力をかけるので、印刷面がへこんでしまうのが欠点です。また、ダンボールに箔押しをする場合、ダンボールの段(スジ)が目立ちやすいので、大きな面に印刷するのは向いていません。

 

おすすめロット:100~1000箱

 

シルク印刷

 

シルク印刷は、シルク版という版を使って単色で印刷します。シルクスクリーンとも呼ばれるこの印刷方法は、孔版をスクリーンとしてダンボールに覆い、孔からインクを付けて印刷します。

印刷がはじまった当初、『木枠に絹(シルク)を張ったものに裏から型紙を張り、これを印刷面に当てその上からインクを付けて行っていた』ため、シルク印刷と呼ばれました。現在は絹ではなく、ナイロンやステンレス鋼ができています。

単色でくっきりと印刷したいときはシルク印刷がおすすめです。

 

おすすめロット:100~1000箱

 

Q ダンボールの厚みはどうしたいですか?

 

「ダンボールの厚み」と言われても、ピンとこない方もいると思います。「ダンボールの厚みって1種類じゃないの??」とびっくりされるかもしれません。

わたしたちがふだん「あれがダンボールでしょ」と思っているものはAフルートと呼ばれるダンボールです。ダンボールにはほかにもEフルートやBフルート、Cフルート、Wフルート……などという具合にさまざまなダンボール箱の厚みがあります。

以下、ダンボール箱の厚みの種類をまとめてみたいと思います。

 

Aフルート……約5㎜の厚さ。一般的なダンボール箱の厚みです。飲料水の運送や引っ越し業者が使うダンボール箱の厚みです。スーパーなどで山積みになっているダンボール箱なのでありがたみを感じにくいですが、実は『しっかりもの』なんです。

 

Bフルート……約3㎜の厚さ。軽いものや小型の宅配物に使用されています。

 

Cフルート……約4㎜の厚さ。中の段が密になっているので、厚さは薄いですが、強度があります。日本ではAフルートが主流ですが、海外ではこのCフルートが主流です。

 

Eフルート……約1.5㎜の厚さ。中のナミナミが細かく、段が目立たないのでギフトボックスに使われます。

 

Wフルート……約8㎜の厚さ。AフルートとBフルートを貼り合わせた構造です。主に海外発送の商品など、丈夫さが求められるものに使われます。

○まとめ

「印刷は単色印刷で、厚さはEフルートで、差し込み式で……中にはハンドメイドのアクセサリーを入れよう!」こんなふうに想像をふらませたら、あとはダンボール会社の方にイメージを伝えるだけ!

きっと素敵なオーダーメイドダンボールを作ってくれると思います。

怖がらずに一歩踏み出して、世界に1つだけのオリジナルダンボールを作ってみてくださいね。

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