大震災が起こったとき、食べ物よりもまず先に被災者の方が困るのはトイレ。日本トイレ研究所のアンケ―トによると、実際に被災した方は、被災して3時間以内にトイレに行きたいと思う方が多かったそうです。トイレに行きたいのに、配水管が壊れていて、トイレに行けない……。そんな状況はすごくストレスがかかりますよね。
そこで今回は、災害用のトイレ事情についてまとめてみました。災害時に備えて、参考になさってください!
【目次】
災害時にトイレに困る理由
仮設トイレはいつくるの?
災害用トイレには仮設トイレのほかにどんなものがあるの?
個人で用意するなら簡易トイレがおすすめ!
〇災害時にトイレに困る理由
震災が起こると、断水や停電が起こるだけではなく、下水道や浄化槽が壊れる可能性がおおいにあります。一見、トイレが無事なように見えても、トイレが流れなかったりするのです。
震災のとき、「お風呂にお水をためておいて、トイレを流すときに使おう」と考える方も多いのですが、それはこわ~い結末を招くことも……。
地面の中に埋まっている配水管が壊れていると、水で強制的に流しても流れて行かないので、突然トイレの水が逆流して来たりするのです。また、マンション暮らしの方だと、ほかの階の住民のトイレから汚水があふれてくることもあります。部屋が糞尿だらけになることを考えるとぞっとしますよね。
しかし、トイレの逆流が怖いからといって、トイレを流さずにそのまま便器にためておくのもとても不衛生です。トイレの衛生環境が悪化すると、感染症の温床となります。
また、トイレが不衛生だったり、寒かったり、遠かったりすると、私たちはトイレの回数を減らそうと、食事や水分補給を控えるようになります。すると、脱水症状が起こったり、体調を崩すように。最悪の場合、脳梗塞や心筋梗塞で命を落としてしまうことになるのです。
〇仮設トイレはいつくるの?
災害時のトイレと聞いてまっさきに思い浮かぶのは、イラストのような仮設トイレですよね。しかし、仮設トイレが設置されるのは震災直後ではありません。
名古屋大学エコトピア科学研究所がまとめたアンケートによると、仮設トイレが設置された日数は『3日以内』が34%、続いて『4~7日』が17%、『8~14日』が28%、『15~30日』が7%、『一か月以上』が14%となりました。なんと8日以上かかると答えた人は約半数の49%という結果になったのです。
残念ながら、仮設トイレはすぐに配備されるわけではないということがわかりますね。
仮設トイレが運よく設置されても、たくさんの人が使用するので、「トイレに行きたい!」と思っても長蛇の列に並ばなければいけません。また、仮設トイレはもともと建設現場で使われることを目的として開発されたもの。そのため、洋式が少なく、段差があるので、子供や介助が必要なお年寄りにとってはとても使いづらいものとなっています。
〇災害用トイレには仮設トイレのほかにどんなものがあるの?
仮設トイレのほかにも、『災害時に使うトイレ』というものがあります。
以下、災害用トイレの種類を見て行きましょう!
・携帯トイレ
水が流せなくなって使えない洋式トイレに便袋(し尿を貯める袋)を設置して使うタイプ。便袋の中に吸水シートが入っていたり、便をしたあとに上から凝固剤をふりかけて便をジェル状に固めたりします。
便器がなくとも、プライバシーを守る空間があればどこでも使用できるのが特徴です。
ポイント……一度使用するたびにゴミが増えるので、臭いを抑える防臭タイプの凝固剤を使用したほうがよいでしょう。また、ゴミはトイレには流せません。必ず、燃えるごみとして処分しましょう。
・簡易トイレ
簡易トイレは小型の便器のついたトイレのこと。災害時によく使用されます。ダンボールタイプの簡易トイレなら、災害対策用に折りたたんだ状態で用意しておき、災害時に使用したら捨てることができます。
ポイント……携帯トイレとの大きな違いは『便器』があるかないか。携帯トイレ同様、使うたびにポリ袋と凝固剤を使用します。便器があることによって、トイレ空間がないところでも簡単に用を足すことができます。
・仮設トイレ(ボックス型)
イベント会場や工事現場などのトイレがない場所で使用するために作られたボックス型のトイレのこと。最近は水を流すことのできる簡易推薦タイプ(1回当たり200㏄程度)が主流となっています。
ポイント……和式タイプがほとんどで、便器の下部に汚物を貯めるタンクがついています。段差もあるので、小さな子供や介助が必要な年配の方は使いづらいでしょう。また、タンク内にたまった汚物をバキュームカーでくみ取りする必要があります。
・仮設トイレ(組み立て型)
災害避難所などのトイレがないところに一時的に設置される組み立て型のトイレのこと。テント型やパネル型などがあり、使用しないときにコンパクトに収納することができます。
現在は、約20分で設置可能な『ほぼ紙だけの組み立て式仮設トイレ』も誕生しています。素材はほぼ紙。『耐水性で強度が高い特殊な厚紙を六角形状に組み立て、硬質発砲スチロールでできた便器を設置』することにより完成します。壁はもちろん、タンクや便器にいたるまで、すべて可燃材なので、使用後は可燃性粗大ごみとして処分することができます。
災害時のトイレは、衛生面に気を付けたいもの。紙やダンボールで作られたトイレを使用することで、汚れたら処分し、次の災害に備えてまた新しいものを備蓄することが可能です。
ポイント……屋外に設置するので、雨や風に強いことや、しっかりと固定することができるかどうかが求められます。
・マンホールトイレ
マンホールの上に設置するトイレ室のこと。テント型やパネル型があり、使わないときにはコンパクトに収納することができます。マンホールトイレは段差がないので、車いすの方でも使うことができるのが特徴です。
ポイント……災害時にすぐに使用するために、組み立て方法やマンホールトイレの位置を事前に確認しておくことが求められます。また、屋外に設置するので、雨風をしのげるよう、しっかりと固定する必要があります。プライバシー空間を確保するために、鍵を設置したり、照明を設置するほか、中が透けないように考慮する必要があります。
・自己処理型トイレ
し尿処理の装置がトイレ自体に備わっているトイレのこと。処理水を下水道に流すのではなく、循環・再利用する方法や、おがくず等でし尿を処理する方式、乾燥・焼却させる方式などがあります・
ポイント……処理水を循環させたり、攪拌・保温・乾燥などの処理に電力が必要となります。また、機械設備が問題なく使えるかどうか定期的に点検をする必要があります。
・車載トイレ
軽トラックに積むことができるトイレのこと。おもに道路工事の現場など、移動が必要な場所で使われています。『車載トイレ』で検索すると、大型のトイレをレンタルしている会社が見つかりました。また、個人用としても水洗式のポータブルトイレを発見しました。
カーメイト 水洗式ポータブルトイレ ポルタポッティキューブ ホワイト PPQ345
価格 13,984円
レビュー平均評価2.9
『PortaPotti 335を15年ほど使用しておりました。水洗ポンプの蛇腹に穴が開いてやむなく購入したのですが、このメーカーのポータブルトイレは匂いがほとんどもれないので素晴らしいです。
この商品の水洗ポンプは大変使いやすいです。
他の方のレビューに「排水フタの引き出しレバーがきつく、、」とありましたが レバーのストッパーがきついようですね。
ストッパーのところに割りばしなどを切って挟むと問題なく使えます。
はっきり言ってストッパは必要ないと思います。以前はロックがついてませんでしたが問題皆無でした。
参考まで、、。車中泊にも活躍すると思います』
『今まで使っていたポータブルトイレとは、全然違いますね~!清水タンクの水漏れもなく、上下をはめ込んだ時に「カチッ」とフィット感が有り、水漏れが心配ない品物ですね~!
だから、臭い漏れもなく最高です!今までのポータブルトイレの使用経験や知人の話を参考に、
この目盛り付きにしました。ちなみに、自分はキャンピングカーに乗っているので車の中に設置しています』
ポイント……トイレを使うためには洗浄水が必要。また、汚物を適宜、汲み取りする必要があります。
・災害対応型便器
普段は水洗トイレとして使用し、災害時に上下水道が損傷した場合に、汲み取り式へとトイレを切り替えることができるトイレのこと。インフラが復旧した際は、汲み取りをまたずに、水洗トイレに切り替えて使うことが可能です。ふだん使っているトイレを使用するので、ドアを閉めて用を足すことができ、プライバシーが守られます。
ポイント……地下貯留槽にし尿を食べる場合は、汲み取りをするか、ポンプで下水道に移送することが必要になります。また、災害時に使用した便槽は、消毒が必要となります。
・災害対応型トイレ
災害の際にもトイレ機能を継続することができるトイレの子と。災害用トイレをそなえた常設型の水洗トイレです。
ポイント……家の近くにあるかどうか確認してみましょう。
〇個人で用意するなら簡易トイレがおすすめ!
さまざまなトイレを紹介してきましたが、ひとつ言えることは、どんなトイレであっても災害時には大混雑するということ。
トイレに行きたくなっても、仮設トイレは長蛇の列。最悪の場合、仮設トイレが壊れてしまって、汚水が漏れ出てくることも十分に考えられます。
災害に備えるためには、ひとつ簡易トイレを用意しておくと安心できるでしょう。
携帯トイレと簡易トイレの大きな違いは『便器があるかどうか』というところ。
高速道路走行中にトイレに行けないときなどは大きさを考えて、袋式の携帯トイレのほうがよいかもしれませんが、災害時の避難状態なら、トイレは家族みんなが落ち着いてできるように便器があるタイプのほうが安心です。
なかには、簡易トイレを購入せず、ゴミ袋と凝固剤だけ購入して、災害時にはゴミ箱にセットして用を足そう!と考える方もいるかと思いますが、便座がない場所で排便するのはなかなか難しいもの。
とくに避難所などの人の目があるところでは、トイレをするのも大変です。
しっかり足を踏ん張らないとふらふらして、最悪の場合転んでしまう危険があります。子供がトイレに失敗してし尿まみれになってしまった……!なんてことにならないためにも、簡易トイレはしっかり選びたいものです。
『たすけくん』という簡易トイレは、浜松市、磐田市の各自治会や県立高校の災害備品として購入されている簡易トイレで、ダンボール製の組み立て式です。
組み立てる前は、高さ310㎜、幅280㎜、奥行き400㎜の長方形の箱になっており、持ち運びやすいように取っ手がついています。重さも女性が片手で持てる重さとなっています。大きすぎないので車に常に積んでおくのも良いと思います。
組み立てれば、200㎏もの重さに耐えるので、お父さんでも安心して使えますし、丈夫なので家族で何度も使うことができます。
価格は6回分の消耗品(処理用袋、消臭凝固剤)がついて2,160円。
避難所などの人の目があるところでトイレをする場合に備えて、目隠し用のコートも売られています。すっぽりかぶれば、外からは簡易トイレが見えなくなるので、安心して用を足すことができそうです。こちらの目隠し用コートは2,000円となっています。
『たすけくん』には消耗品だけのキットも売られています(処理用ポリ袋×10袋、消臭凝固剤×10袋、ポケットティッシュ10個で1,000円)。
トイレの凝固剤には、ただ便を固めるだけのものもありますし、防臭効果や防菌効果のあるものがあるので、災害用に購入する場合は『防臭・防菌効果のあるもの』をしっかり選びましょう。
ちょっとしたおでかけの際に使う時ならばどんな凝固剤を使用してもかまわないと思いますが、災害時には、ちょっとした病気も命とりなので、最低でも防菌効果のあるものを選びたいところです。
腸菌や黄色ブドウ球菌に感染するリスクは、この防菌効果によってぐっと変わります。下痢や腹痛といった症状はたいしたことのないように思えますが、体力の低下している災害時には治りにくくなっています。そのまま症状が進むと、腎不全や脳浮腫による意識障害やけいれんを引き起こすこともあるので注意が必要です。
また、避難所などの人の多いところで簡易トイレを使用する場合、臭いも気になるもの。『たすけくん』
についている凝固剤なら、消臭・防菌効果のあるものなので安心です。
安すぎるポリ袋を使うと、最悪の場合、やぶける可能性もあるので、袋もできれば『汚物用』に使えるものを使いたいですよね!3点セットで1,000円なので、いざというときのために買っておくと心強いです。